十一月八日附 パリ発信 母宛 封書 (前略)こゝのこうしくわんづきのおやくにんさまのはちださんといふおかたがわたしにかををかいてくれないかとおつしやいましたからこのごろハたいていまいにちおひるすぎにそのおかたのかほをかきます よいけいこになります またはちださんハまことにかんしんにてゑんぽうのところをかまわずわたしのうちまできてくださいますからまことにしやわせでございます くめさんとさくばんもこんばんも一しよにめしをたいてたべました めしのおかずにはいわしをやいてたべました このほうがせいようりようりよりをたべるよりもよつぽどけんやくになりなりますけれどもめしをたいたりなんかするのにハなかなかひまがかゝりめんどうでございます(中略) わたしはこないだたびからかへつてまいりましてからやつぱりくめさんのうちにとまつてをります このほうがひとりでをるよりもにぎやかでございます このくめさんのうちからわたしのうちまでいくのハちようどうちからかいざかにいくくらいのところでございますからまことにべんりでございます この二十日ごろニかわぢさんがにつぽんへおかへりなさるどうですからそのびんにハなにかわたしのかいたゑをおくつてあげませうとぞんじます どうぞまつていてくださいまし(後略) 母上様 新太
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六月二十三日 金 晴 六時蜂龍 三井 牧田氏