本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1904(明治37) 年5月24日

 五月二十四日 火 雨 御体温大ニ昇リ今朝八度二分 午後九度五分ニ達ス 小西氏午後二時頃来診 御病症ハ肝臓カ胆ニ故障アルナラントノ事也 実ニ心痛ノ至ナリ 橋本氏へ来診ヲ乞フ事看護婦ヲ今一人雇入ルヽ事等ヲ依頼セリ 早速笄町ヘ此ノ御容体ヲ御通知申上タル処父上直チニ御入来アリ 御様子委シク御話シ申上タリ 午前十一時頃山本芳翠翁来訪 共ニ昼飯ヲ喫セリ 今夜ハ斎藤氏ノ来ルベキ日ナレドモ心地何トナク落着カザルヲ以テ使ヲ遣シ断リ置ク 夕刻合田月給ヲ届ケ呉レタリ 夜ハ画室ニ在リテ片附モノ或ハ読書等ニテ彼レ是レスル内早十一時半トナリタレバ寝室ニ入ル 明日ノ御容体如何有ルベキヤ 今回ハ御体温ノ高キ割ニハ御気分悪シカラズトノ事ナリ

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