八月二十四日 (箱根避暑旅行日記) 今日の雨は二タ子山の方より来る 風呂の水汲ニハ亭主愈窮したるものと見へ近所のかゝあ連を頼み此の仕事を為さしむ こう極まれバ最早風呂の沸かぬ日ハ有るまじ 雨の霽間にハ日照りてフランネルの単衣物にてハ少しく汗を催す位也 午時頃より次第に天気好く為り久し振に金色なる夕空を見るを得たり 即ち静かなる晩方の画を作る 此の地に来りし以来未だ今夜の如き心地よき夜は無かりし 空は晴れ月は明に風は無く湖面は平らかで先づ申分の無き夜なり
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十二月二十四日 (従軍日記) 第一師団ノ御馳走 平岡八郎君ニモ逢フ