1886(明治19) 年8月20日


 八月二十日附 ブリュッセル発信 母宛 封書
 (前略)まつがたさんのおせわでうゑべるさんといふうちをしりました(中略) わたしはそこのうちにあすびにいくときつとゑをかきます おかみさんのしやしんをみてかいたのをもつていつてやりましたらよくにておるといつておゝよろこびをいたしましてそれをがくにするとかゆつておりました けふはそのおかみさんが一しよにゑのはくらんくわいをみにつれていくからひるめしをたべずにこいともうしました それゆへこれからすぐにそこのうちにゆきみんなと一しよにごぜんをたべそうしてゑのけんぶつにゆくつもりです めでたくかしこ
 母上様  新太拝

同日の「久米圭一郎日記」より
海上平穏 終日無所見八月二十日 晴