五月十八日附 グレー発信 母宛 封書 みなみなさまおんそろひますますごきげんよくいらせられ候半とおんめでたくぞんじあげまいらせ候 わたくしこと大げんきにてこのまへのにちようびよりぐれと申いなかにまいりましてまいにちのばらやいなかのばあさんまたうしなどのゑをかいております このまへまへのどようびにぶんぞうさんと一しよに一どまへりまして五日とまつてをりました そうしてこんどは二どめです このぐれと申ところはかわがあつたりなんかしてなかなかよいところです このまへにきたときにはぶんぞうさんがみんなはらつてくださいました こゝにハゑかきがたくさんきてをります わたしのがつこうのともだちが三にんきてをりますからなかなかおもしろいことです ひるまはゑをかいておもしろくくらしますけれどもよるハなにもしかたハなくばんめしをたべてしまうと九じになります それからすこしひとりかまたハともだちといなかみちをぶらつきましてかへつてすぐねてしまいます ぱりすのみやことちがいよるなどもなかなかしづかなことにてまことにまことによいことです(中略) もう二三にちもするとまたぱりすにかへつていかなければなりませんよ ながくをるとおかねがたくさんいりますからこまつたものです めでたくかしこ 母上様 新太より
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本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。
二月九日 木 晴 今暁五時帰宅 午前中睡眠 午後三時×五時小笠原伯邸小集 青 水 岡三氏同席 五時半ヨリ又樺山邸