本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1920(大正9) 年2月15日

 二月十五日 日 雪 起出ヅレバ満庭雪ナリ 又終日雪フル 併シ寒サハ佐程ニモ非ズ 川路利恭君夫人ノ告別式駒込林町ノ邸ニテ執行セラル 午前十一時過ヨリ自動車ニテ出向キ直ニ引返シテ更ニ築地本願寺内正法寺ニテ執行ノ祖山鐘三君ノ葬儀ヘ赴ケリ 病気ハ食道癌ナリシト云フ 年五十一 惜ム可シ 二時帰宅ス 夕刻樹枝ノ雪ヲ写ス(板寸) 夜講談本ヲ読ム 本日警察講習所教授笠井英一氏 故三好氏ノフロツク及ビカラーノ類ヲ持参セラル 肖像画用也

to page top