1904(明治37) 年12月17日

今朝一ツ橋では言ひ訳丈の稽古をなし直に帰る。午後目黒に出掛ける。父上は少々御気色勝れず、さんさん小供の智慧つかぬというのでお小言を聞く。生来の事なれば仕方がない。又正月の餅搗きの事を相談する。爺夫婦此頃少しく御覚へ目出度からぬ様子。併し餅は遂に頼んでやらせる事にした。四時過一旦帰宅夫から菊坂研究所の牛どん会に行く積りで歩いて出掛けると狸穴坂上の辺で竹沢に出逢ひ話しながら共に歩く。白耳義博覧会一件愈行く事に極つた由。久保町の処まで同行して電車に乗り本郷まで走る。今日は場処の悪いためか至極さみしい。色々な建議は出たが何もきまらない。南行連一同と電車にて帰る。

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