本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1889(明治22) 年8月30日

 八月三十日附 ブランケンベルク発信 母宛 封書 (前略)わたくしことハいつもながらだいげんきにてまだばんはるとらんさんのうちニごやつかいニなつてをります じつハこの二十五日のひニをらんだへゆくつもりでちやんときめこんでをりましたけれどもこゝのうちのおつかさんニとめられてとうとうこんげつぢゆうハこゝニをることゝなりました こんげつもあしたぎりですからあさつてハどうしてもおらんだへゆくつもりです こゝのばんはるとらんさんのうちニきてからもう十五にちばかりニなります その十五にちバかりのうちニいろいろおもしろいことをいたしました それにつけてハおかねもすこしハいりましたよ さくじつハこゝのうちのむすこふたりとむすめが四にんそれからよそのうちのぢいさんやむすこやむすめつごう十九にんにてをらんだのくにのふれつしんぐとミつでるべるぐとゆふところをみにいきました(後略) 母上様  新太

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