本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1887(明治20) 年2月11日

 二月十一日附 パリ発信 父宛 封書 益々御安康之筈奉大賀候 私事至而元気法律及画学をも勉強致居候間御休心可被下候 (中略)私法律別課教師よりボワソナドニ手紙ヲ送リたりと申事ニ付若し万一ボワソナドより何ニカ問ヒ合セ候折ハ可然御返答奉願上候 愈今月限ニテ同人ノ教授ヲ断リ来月よりハ法律大学校教師がおしへ呉れ候碇ナル教師ニ授業を頼む積ニ御座候間御安心可被下候 右教師をことわるには御尊公様より原氏方へ手紙にて確かなる教師へひたとたのみ込む可き旨ヲ御申越被成候ニ付不得止其教師方へ転学する云々の虚言ヲ用ヒ候ニ付左様御承知奉願上候 黒田旧内閣顧問様ニモ先日当地ヘ御安着 去ル日曜日ニ一寸御旅宿迄参上仕候 其翌月曜日英国ヘ向ケ御出発被成候由承り候 頓首 父上様  清輝拝

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