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     六月十七日 水曜 (独仏国境旅行日記) 九時半頃より宿屋を出で池の右岸をぐるりと廻り向ふ岸ニ出た 此処で画などかくので一寸休だが不思議なるかな日本の糞のにほひがした 日本の糞と云てハ一寸ニわからぬが日本で圃ニこやしをかけると随分たまらないにほひがするがあのにほひの事さ 此の香を始てかいだ時ニハアヽ此辺でハ日本流ニ人糞を圃ニかけるかナアと思て久米公と話しをしたが之レから段々色々な処ニ行て気を付て見ると成程此辺ハ巴里近在とハ違つて人糞を使ふと云事が知れた 日本のこやしたんごとハ違てたらい見た様な平たい桶ニ入れる それから其桶の両わきニ鉄のわが付て居て其中ニ棒を二本通し二人でぶら下ゲて運ぶ也 一寸面白し さてそれから山に登りメレール滝を見る 其途中で久米公其滝から流て来る小川の中ニ片足ふみ込み閉口した 滝を見てから山の上ニ出て又下ニ下り一時頃山の向ふがわの谷川のへりの木の陰ニ成つたすゞしい処で弁当を遣ふ 其時水を飲ふとして川の中ニ石筆を落しそれを大急きでひらハんとして足をすべらし今度ハ拙者が両足とも水の中ニヅブーンとやらかした 久米公かたぎを打つたる気で大喜びをした 夫レヨリフエニーの滝を見ニ行く 其近処の百姓家ニ立寄り牛乳を飲む それより又山道をたどりてクルーズ・クートの滝を見る 其滝ニ行着く前ぢきそばの百姓家の処で仕事をして居た女の子ニ道を聞たるニ其弟と覚しき十歳計りの小僧いづこよりや出て来りはだしで前ニ立て案内す 感心な者と思て今日の会計を主て居る久米公が二銭呉れてやつた 此の滝よりグロスピヘールと云処迄行く 行着た時ハ六時半頃也 遠山の色合など云ハん方なし 其処の一軒茶屋ニて夜食を為す 値段おかつこう也 茶屋のかみさん小供の様なばゞあの様な変な奴也 十四五とも見ゆれバまた二十五六とも三十以上とも見ゆ 余程奇物也 八時頃同処を立ち出づ 山の上からゴロゴロゴロと落テ来てポコンと二つにわれて見ルと其われ目の平たく成て居る処ニ耶蘇のおつかさんが耶蘇をだいて居る像が天然自然ニ描テ有つたと云不思議千万天下ニ画工の御用無しと云便利な岩の前の処を通る頃ニハ已ニ夜ニ入り月が出て来た 九時過ゼラルメの宿屋ニ帰り着き茶を飲み而後部屋ニ引込む それから日本へ出す手紙を書んとしたるニ部屋の中ニブンブンと非常ニ音をさして飛び廻る蝿有り かんしやくニさわつていやニなる そこで久米と相談して其蝿を第一番ニ打ち殺した者が一銭取る事と極む 是レヨリ蝿を追ひ廻し寝台の上に上るやら何やら大騒きを始めたり とうとう拙者が蝿を一匹部屋の隅ニ見付ケテ打ち取り一銭久米より巻き上ぐ 暫くすると又ブーンと飛ふ者有り 奇怪千万拙者の打留メたる蝿ハ前の大将蝿ニ非ズ雑兵ナリと知れたれバ忽ち切角取た一銭の取り返へしを食たり それより久米公大憤発をやらかし一匹打ち取りたるニ之レモ亦雑兵也ける 大将の蝿ハ矢張平気で飛び廻る 千辛万苦遂ニ其首を上げたる者ハ拙者様也 一銭の銅貨を握て安心退陣す 時ニ十時過也 日本への手紙を書き取た時は已ニ十二時近くなつた 久米公ハ手紙を書て寝て仕舞た 二時半頃迄かかつてフオンテヌブローへ出ス手紙を書た 蝋燭が無くなつたからおやめニした〔図 写生帳より〕

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1920(大正9) 年8月19日


 八月十九日 木 雨
 千田嘉平君午後七時半東京駅発ハルピンヘ赴任ノコトヽナリタレバ予テ約束セル作品(樹上ノ雪ノ図)一点斧山ヲ以テ代々幡ノ邸マデ届ケ又同君ヲ停車場ニ見送レリ

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