五月七日附 グレー発信 母宛 封書 (前略)わたくしことハいつもながらだいげんきにてこの二三日くめさんといつしよニぐれと申ところニまへつてをります このぐれと申ますところハいつかも申てあげましたとうりぶんぞうさんとご一しよニまいつてをりましたところです そのときからもう二ねんばかりニなりますもんですからそのときちいさかつたこどもなんどがもうおゝきくなつたりまた十二三のおんなのこなんどがりつぱニおゝきくなつてをります(中略) このいなかでかきたいものがたくさんございますけれどもたゞいまハあいにくおかねのすくないときですからながくおることハできませんよ もう三四日もしたならまたぱりすニかへつていきましてそうしてくめさんがぎんこうでおかねをうけとるとそのおかねでまたふたりづれででかけようといふつもりです(後略) 母上様 新太
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本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。
一月三十一日 土 晴 瀬野覺藏ヘ白樺ノ黄葉ヲ写シタル板寸ノ画ヲ与フ 又羽室氏ヘ送ルベキモノニ落款ヲ入ル