本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1904(明治37) 年4月2日

 四月二日 土 晴 暖 御容体引続キ宜しき方なり 小西氏ハ夕刻来診 午前十時父上御入来ニテ拙者寝室ヨリ出ヅ 午後三時頃マデ御側ニ侍ス 後大迫氏来訪 又合田来ル 夜先日鉛筆ニテ描キタル滝ノ白糸口絵(父上ノ御肖像)ヲ墨ニテ描キ直ス 夜分ノ作ニテ粗ニ過ギタルガ如シ 十二時床ニ入リ四ツ新聞ヲ読ミ終リ眠リタルハ三時頃也 本日ハ朝ヨリ頭痛ニテ気分勝レズ 先日来ノ感冒未ダ癒エザルニヤ 知足モ今ニ平常ノ如クナラズトノ事故二人共小西氏ノ診察ヲ受ケ又服薬ヲ始ム 夜十時頃ヨリ大ニ心地ヨクナリタリ 岩下君ヨリ電話ニテ上京ノ旨通知 米国ヨリ帰朝セシ某氏 戸田謙二ノ油画及手紙ヲ届ケクレタリ

to page top