本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1899(明治32) 年1月5日

 一月五日 晴風強し 朝めし後磯谷静岡へ向けて立つ オレハ後の畝の中ニ安藤と一緒ニかきに行く 午後佐野の肖像の仕上ニ懸る 此の時風の強かりし為帰つて仕舞ふぢやないかと云議が出て忽ち一決し弁滑君を写したる鈴木氏を一人残して皆立つ 六時半頃の直行にて東へ帰る 夜食ハ汽車の弁当なり 折角食つて居たらおかずが汽車の動くのでひつくりかへり大ニ閉口 佐野からかまぼこ一つ安藤から漬物二切れを貰つて漸くめしをすませた 九時二十分大船着 此処ニて佐 久 安の三人ニ別れ逗子へ行く 十時頃養神亭着

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