本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1892(明治25) 年10月13日

 十月十三日 木 朝十時の気車で巴里へ出る 着くと直ニ曽曾我ヲ訪ふ(吸風呂宿屋)寺尾亨氏ニ始メテ逢ふ 寺尾氏と一緒ニめしヲ食ヒ久米の道具ゆづり渡一件相談ニ及ぶ 事が大抵極たから別れ曾我ト一緒ニ醜婦楼で飲ム 銀行でハ百仏の札の中ニ五十仏ヲ一枚ちよろまかして入れて置かれタノヲ気が付かす持て帰へりひどい目ニ逢つたが仕方がネへ 夜食も曾我の処で食ふ 曾我 寺尾氏等とスーフレ茶屋ニ行一杯頂く 帰へり懸ニ翁ニ立寄り書物ヲ四冊計り買ふ 久米公等へ出す手紙ヲかく 銀行から出ルト直ニ鞠屋の注文の鉱泉ヲ買ヒニ行く 又安物屋ニ行く 逆壺ヲ訪ふたけれど番地が違て居テ分らず

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