1905(明治38) 年5月3日 Wednesday


五月三日 曇午後雨

今日より靖国神社臨時大祭にて種々の催しある筈なるが例に依り昼から降り出した。自転車は一ツ橋に置いて上野に廻つたが本降りになつて大閉口。大門より人力で帰宅した。今日夕方号外が出たが何の事だか分らぬ。波羅的艦隊は其後安南沿岸に影を潜めて全く其動静を知るを得ず。今日の号外も大した事件ではなさそうである。所詮敵より攻勢を取り衝突を求めるには至るまい。又浦塩に向ふ事も当分断念したやうであるが最も不明なるは第三艦隊の行衛であつて其到着する時は何とか様子が変るならんと察せられる。

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例)「1905/05/03 久米桂一郎日記データベース」(東京文化財研究所) https://www.tobunken.go.jp/materials/kume_diary/872946.html(閲覧日 2024-05-19)