九月十日附 ブレハ発信 母宛 封書 (前略)わたしハいまハぶれハと申しまニをります くめさんとなかむらじろうさんといつしよニをりますからなかなかおもしろいことです べんきようのできないときニハつりなんかしニいきます わたしハつりハまことニへたすつぽにてまだ一ぴきもつれません くめさんとなかむらさんハよくつります それからたいていまいにち四時はんか五じごろニしほをあびります からだのためニよほどよろしかろうとぞんじます けつしてあぶないようなところであびるのぢやございませんからごしんぱいニハおよびませんよ ながくこゝにをるつもりぢやございませんからおゝきなゑハかきません ちいさなゑばかりかいてをります こんげつの十五日ぐらいニハぱりすのほうへかへつていこうとかんがへてをります こゝでハともだちがあつておもしろうございますから日がなかなかはやくたちます わたしがこゝにきましてからもう二しゆうかんニなりました(後略) 母上様 ぶれはじまより 新太拝
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本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。
九月一日 金 夜八時半帝国ホテル至十二時 一同打連浅草見物 デルスニス氏明日出発ノ筈