本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1916(大正5) 年3月21日

 三月二十一日 火 晴 (鎌倉) 今回ノ別荘生活ハ比較的繁忙ニテ聊カ閉口也 約ニ依リ午前十時頃海浜院ニ於テ樺山君外三名ノ製鋼所員ト会合シ献品ノ図案ヲ決定ス 午後三時過ヨリ照ト佐介荘ニ伺候シ父上様御誕生日ノ御祝詞ヲ申上グ 尤モ今午前中ニ祝意ヲ表センガ為鯛及葡萄酒ヲ奉呈セリ 四時三十七分ノ汽車ニテ大船ヘ赴キ伊集院大使ヲ見送ル 告別ノ為此処ニ集リタル者松方候 都築男 陸奧伯 荒川公使 樺山君等十四五名也 夜ハ明日ノ用事ノ順序ヲ定メ絵具箱ヲ掃除ス

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