本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1913(大正2) 年1月9日

 一月九日 木 曇 (不迎庵日誌) 製作ニ従事セシコト前日ニ同ジ 午後一時半頃造船出張所ノ山田氏ヨリ電報ニテ神戸本社ヨリ十二日中ニ作品ヲ受取リ度キ旨申越シタレバ十一日中ニ発送セヨトノ事也 即刻櫻井ヘ電話ヲ以テ右不可能也十三日当地ヨリ直接神戸ヘ持参ス可キ筈ナリト山田氏ヘ返事スルヤウ申送ル 頭痛ノ為メ晩食ヲ延バシ腹薬シテ六時頃ヨリ一時間バカリ眠ル 正月ノ事トテ往来ノ人声騒ガシク安眠スル能ハズ 併シ病気ハ平癒セリ 今夜近松心中天ノ網島ヲ読ム

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