本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1891(明治24) 年5月1日

 五月一日附 パリ発信 父宛 葉書 三月十三日母上様よりの御手紙先日相届拝読仕候処皆々様御揃益御安康之由奉大賀候 次ニ私事大元気にて勉学罷在候間御休神可被下候 共進会も昨日開会相成候 私も友人二人伴ひ出掛け申候 中々盛なる事ニて出品人の外ニ招かれし人又銭を払て見物ニ来し人等総ニて昨日中ニ一万七千五百人とか来しと申事ニ御座候 金持ちの女子などハ新しくつくりたる春の被物を毎年此の共進会の開会の日より被始むるとか申事ニて皆々非常ニめかし居よき見物ニて有之候 男ハ大抵高帽ニて候 余附後便候 早々 頓首 父上様  清輝拝  御自愛専要ニ奉祈候

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