本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1889(明治22) 年10月18日

 十月十八日附 パリ発信 父宛 葉書 益御安康奉賀候 私事至極元気去る十四日より学校稽古相始まり毎日勉強罷在候 ベルギー国の友人バンハルトランも去る十二日帰国致し候 同人滞在中ハ毎日博覧会等の見物ニテ金も入り愉快の事も多く有之候 併し毎日博覧会の見物ニハ少しく閉口致し候 今日は大熊氏広ト申彫刻師帰朝被致候 同氏トハ親しく交際致し候間当地ノ近状等委細同氏より御聞取被下度御地着ノ上は自ラ尋来り呉れらるゝ事と存候 九月四日付御両親様よりの御手紙慥ニ相届き難有奉拝読候 早々 頓首 父上様  清輝  御自愛専要奉祈候

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