五月十五日附 グレー発信 母宛 封書 (前略)わたくしことこの一しゆうかんほどいなかニてべんきようをいたしてをります このごろハてんきもよくなりまたたいそうあつくなりました まるでもうなつです これからまたほねををつてべんきようをしなければなりません ことしハぜひなニかをゝきなものをかこうとおもつてをります をゝきなものをかくようニなりますとどうしてもゑかきべやをかりなけれバならないようニなります そうするとまたまたおかねがよけいニかかります しかしどうもしかたがございませんよ きのふハうしのゑをかきました なかなかおもしろいことです どうもうしなんかハじつとしてをりませんからなかなかむづかしゆうございます うしをかりてそのゑをかくのニそのかりちんをださなければなりませんよ 一じかんニにつぽんのおかねで十七八せんもとります なかなかたかいものです あさとひるごとすこしほねををつてべんきようするとぢき一ゑんぐらいとられてしまいますよ それですからなかなかうつかりとしてハをられません よつぽどべんきようしないとそんです こんどハまづこれぎり めでたくかしこ 母上様 新太拝 せつかくおからだをおだいじになさいまし またかまくらニでもたびたびおでかけなさいまし かまくらニハかゞをりますかどうです
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八月二十七日 土 (鎌倉) 午後有坂及岡村三良来ル 又風ノ為ニ日避吹飛バサル