本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1893(明治26) 年2月4日

 二月四日附 パリ発信 父宛 封書 (前略)公使野村氏の為ニ此頃描き居候女子のはだかの画ハ次第ニ進み申候 今尚一月程も描き候上一と先教師へ見せ若し気ニ入候へば此の画ヲ共進会へ持ち出す様都合致し度存候 手本雇入代絵具代等は総て野村氏の引受にて私ハ只描クと云丈ニ御座候 其代りニ出来上りたる画は野村氏の物と相成事に御座候 去年よりかきため候画の内上出来の分大小六七枚の額ニふちを附ケさせ申候 之レハ皆御尊公様への御土産ニ御座候(後略) 早々 頓首 父上様  清輝拝

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