本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1890(明治23) 年1月24日

 一月二十四日附 パリ発信 父宛 封書 御全家御揃御安康之筈奉賀候 私事無事勉学罷在候間乍憚御休神可被下候 教師注文の花の一件ハ如何相成候哉 都合よく御取計被下候事と奉存候 学校の方も不相変上首尾ニ御座候 御安心被下度奉願上候 当年の共進会にハ是非何とか出し見度者と折角相考居申候 いよいよ画く事と相成候時ハ今迄の学資金にてハとても足り不申候間左様御承知被下度候(中略) 近頃ハ美術大学校の解剖の講義を聴候 之レハ一週二回にて実物ニ付て説明有之候事故甚だ愉快ニ御座候 余附後便候 早々 頓首 父上様  清輝  御自愛専要奉祈候

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