1889(明治22) 年5月3日
五月三日附 パリ発信 母宛 封書 (前略)くめさんのしつてをるひとがちかぢかのうちににつぽんへかへるそうですからそのびんからわたしががつこうでかいたゑをおくつてあげます さくねんぢうからことしにかけてかいたのです みんなおとこやおんなのはだかぼです(中略) この二三日うちにがつこうのともだちのあめりかじんといぎりすじんと三にんづれでまたいなかにゆき一しゆうかんばかりとまつてくるつもりです いなかではひやくしようやだのきだのかわだのゝゑをかくのですからなかなかたのしみになりまたけいこになります こんどハまづこれぎりにしたします めでたくかしく 母上様 新太拝 せつかくおからだをおたいせつになさいまし みなさまへよろしく