本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1888(明治21) 年1月26日

 一月二十六日附 ジュイアンジョザス発信 母宛 封書 一ふで申上度候 そのおんちにてハ父上様あなたさま御はじめみなみなさまおんそろひますますごきげんよくいらせられ候はづおんめでたくぞんじあげまいらせ候 つぎにわたくしこと大げんきにてさる二十二日よりぱりすより一じかんはんばかりかゝるいなかにまいりましてこゝでいなかやなどをかいてをります まことにおもしろいことでございます もう四五にちするとぱりすにかへります こゝはじゆいあんじよざすと申ところにてにつぽんじんのだいくのげんべいといふひとがひとりをります ほんとうのいなかですからまことにおもしろいことです まいにちいなかのめしやでいなかのおりようりをたべてをります そのめしやのばあさんはまことにしんせつなやつにてこのごろなれたところがわたしをむすこむすことよびます おもしろいことです(後略) 母上様  清輝拝

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