九月十三日附 ハーグ発信 母宛 封書 (前略)わたくしハまだおらんだのくにのみやこのらゑと申ところにをりましてこゝのこうしのかはりをしてをいでなさるしまむらさんといふをかたのごやつかいになつてをりましてまいにちゑのはくらんくわいになだかい画をうつしにいきます なかなかたのしみにもなるしまたけいこになります こんげつのはじめからこゝのうちのごやつかいになつております あんまりながくをるのもおきのどくですからもう四五にちのうちにハべるじつくのほうにかへつていこうとをもいます まつがたさんもこゝにをいでです そのほかたなかさんといふひとゝなかむらさんといふひとも一しよにをりますからにぎやかなことでございます(中略) このごろうつしてをるゑハちよつとこんなようなのです おいしやさまがしんだひとのてのかわをはいでそうしてそのときあかしをしてをるところです〔図 こゝのへんにをるたくさんのひとハみんないしやのせいとです〕 めでたくかしこ 母上様 新太より せつかくおだいじになさいまし
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本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。
二月十九日 月 午後曇 三時頃久米入来 光風会ヨリ先生令妹宛花環料贈呈案内状ノ文案ニ付相談ヲ受ケタリ