本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1893(明治26) 年5月20日

 五月二十日附 パリ発信 母宛 封書 (前略)こんどのびんでゑもいろいろおくりました ゑハみんな父上様にさしあげますのです にほんでハてほんのいゝのがないのにハなニよりのこまりたろうとぞんじます 四五日まへにわたしのゑのせんせいのいなかニあそびニいきました せんせいハこのごろハぱりすからてつどうばしやで三十分ばかりかゝるしづかなところニひつこんでをりましておんなのてほんをたのんでゑをかいてをります うらやましいことです またじぶんのたのしみニいろいろめづらしいはなをうへつけてをります わたしがたつときにハめづらしいはなのたねなどをくれるとゆつてをります せんせいはもうことしで四十四五になりますがなかなかきぶんのひとニていろいろおもしろいはなしなどいたします(中略) あめりかにながくひつかゝりさへしなけれバ八月にハおめにかゝることができます(後略) 母上様  新太拝

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