紙の保存国際研修2024スタディツアー
東京文化財研究所では、8月26日から9月13日にかけて、ICCROMと共催して国際研修「紙の保存と修復」を開催しています。本研修は各国の紙保存専門家10名を招聘して、日本の伝統的な紙を使用した文化財の修復技術を伝えるもので、それぞれの国の文化財保護に役立ててもらうことを目的としています。
第二週目となる9月2日から7日まではスタディツアーを行い、美濃、名古屋、京都を訪れて理解を深めました。美濃市では、美濃和紙の里会館、本美濃紙抄造工房、美濃史料館を訪問し、美濃紙がどのように作られ、また流通していたかを学びました。名古屋市では、名古屋城の本丸御殿(復元)において、紙文化財である襖絵などがどのような環境で使用されていたかを肌で感じてもらいました。京都市では、伝統的な修理工房や修復道具店を訪れ、京都のまちで屏風や掛軸といった文化財がどのように守られてきたかについてのお話をうかがいました。
幸い天候にも恵まれ、無事に予定通りすべての行程を終えることができました。最終週はいよいよ巻子作製実習の終盤に入ります。ディスカッションやまとめの時間も設け、ここで得た技術や知見を確かなものにしていく予定です。
トップ画像:美濃竹紙工房(美濃市)での実習
ボトム画像:旧今井家住宅・美濃史料館を見学する様子(美濃市)