1905(明治38) 年4月30日 Sunday


四月三十日 晴

朝から榎坂町田中氏を尋ねる。十郎病気見舞のためである。関節炎がこうじたので一年余かゝつて骨が腐敗したのである。実に恐るべきもんだ。十時半帰る。十二時少し前に佐野が来た。風を引いたので今日は休んだといつた。豚に筍の子の煮しめで昼食をなし食後佐野の古手紙原稿調べをなす。其内に遇然と小泉翁がはいつて来た。昨夜名古屋から帰つたので取敢へすやつて来たという。お誂への勢揃ひで例の一件が始まり五時まで続く。小泉は是から龍土に用があるといつて帰り、佐野と二人でブラブラ歩いて小代を尋ぬるにまだ帰らないので暫く待ち合せ余り遅いから出ると途中で出逢つた。それから佐野と二人で晩飯をやる積りで行くと丁度小泉も出る処で一緒になり龍土軒にはいる。中喰でウイスキー一杯をやる。食後小代を引張出し、再び会し十二時までやる。

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例)「1905/04/30 久米桂一郎日記データベース」(東京文化財研究所) https://www.tobunken.go.jp/materials/kume_diary/872931.html(閲覧日 2024-05-19)