1905(明治38) 年3月19日 Sunday 三月十九日 晴 是まで磯谷の陳列所で大分金が取れたので跡を所有主の糸川が引取つて真の美術館にするというので中勝が其事務員となり陳列を担当する訳である。今日は朝から来てくれというので九時に出掛けて行つたところが誰も居らず二階下の冷たい土間に埃りをあびて待つて居ると十時過に糸川と中勝も来り十一時半頃黒田もやつて来て色々内部の装飾等話す。昼飯は三橋亭の御馳走もなまぬるい口当りで却つてそんな用意をしてくれない方が有難かつたのである。彼是三時頃まで日当りのない冷たい空気を呼吸したゝめインフリュに冒されるのを明らかに感じた気持がする。之がために遂に一週間斗りも病床に臥すやうな事になつた。 引用の際は、クレジットを明記ください。 例)「1905/03/19 久米桂一郎日記データベース」(東京文化財研究所) https://www.tobunken.go.jp/materials/kume_diary/872726.html(閲覧日 2025-04-29) « 三月十八日 晴 三月二十日 曇 »