1905(明治38) 年3月26日

今日は久し振りで気持のいゝ天気になつたので午後自転車で外出。永田町古川氏を尋ねて黒田より地所譲受けの相談あることを話す。帰途に小代を尋ねる。少時の後佐野も来た。今夜九時に岩村が着するという事で迎ひに行こうといつて久し振りで何か会食する事を約す。五時半より三人で出掛けて例の今福で晩食、胃弱の際少々喰ひ過きた方である。四国町から街鉄の電車で銀座で下り佐野は近常で弗入れを買つた。新美術館に一寸立寄り停車場で聞けば九時半に着するのは大垣から来るのであつて神戸の汽車は十一時過でなければ来ないというので間違ひであることが分り岩村の宅の方に出掛けて行つた。果して主人は五時半に着いたのであるが我々の迎ひに行つた事を聞いて態々新橋に出掛けた跡であつた。仕方がないから其まゝ帰つた。

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