1905(明治38) 年2月21日 Tuesday


二月廿一日 晴 雪上りで暖かい天気になる

九時に家を出たが徳田の妻は間もなく帰る様子であつた。今日の講釈は甚た不出来であつた気がする。一ツ橋から上野に行くに時間が迫つて甚た究屈に思はれた。四時半過に帰宅するにこまは本郷に徳田と共に出掛けてまだ帰らず。留守は小女独りの処に表に怪しき男がはいつて来たといつて大騒ぎをして居る。幸ひ今日は裏の戸の破損を繕ふために大工が来て居てまだしもよかつたが甚だ不用心な事である。こまは六時前にやつと帰つて来たから不注意を戒める。夜は仕事をした。

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例)「1905/02/21 久米桂一郎日記データベース」(東京文化財研究所) https://www.tobunken.go.jp/materials/kume_diary/872676.html(閲覧日 2025-04-30)