1905(明治38) 年2月17日 Friday


二月十七日 晴

今朝大学にては死刑の立派な屍体があつて上肢及下肢の一部を示した。十時半畢る。後一ツ橋の帰りに宗十郎町の床屋に寄り直ぐに目黒に行く。よねの西洋料理大奮発であつた。鶏肉のパイが得意であつたと見へる。林檎のガレットは上出来。食後は父上も上々機嫌で時局談あり。又武士道は逆境にありては花が咲けども順境になると兎角卑屈なる者の口実となりて独立心を妨くるとの説御尤である。八時過より帰る。

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例)「1905/02/17 久米桂一郎日記データベース」(東京文化財研究所) https://www.tobunken.go.jp/materials/kume_diary/872656.html(閲覧日 2024-05-03)