1905(明治38) 年2月9日 Thursday


二月九日 曇

今日は雪空になつて中々寒い。高商学校では今日は祝捷会の催しがあるのでフロックコートで九時前に出懸けて行つた。儀式は校長の祝文朗読で其後に陸海軍人の実戦談は面白かつた。殊に第一師団の参謀少佐鈴木資朝という人の二〇三高地占領の実歴大に人を感動せしめた。右終りて校長の語に対して学生間に冷笑の反動が起つたのが頗る妙な顕象と思はれた。併し先々無事に相済んで焼芋及び赤飯の立食は混雑を極める。午後は学生の種々な催しがあるのであるが一時から上野に廻つて再ひ見には行かなかつた。夜熊崎稽古に来る。

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例)「1905/02/09 久米桂一郎日記データベース」(東京文化財研究所) https://www.tobunken.go.jp/materials/kume_diary/872616.html(閲覧日 2024-05-03)