1905(明治38) 年6月16日 Friday


六月十六日 雨天

光風二号に入れる伊太利旅行記をかいて暮す。午後二時過小泉翁来訪。昨夜帰つたとの事で今夜の会食には来るといつた。夕方までに一席催したい様子であつたが原稿を畢らなければならぬので終に断はつた。六時から成昌楼に出掛ける。此チヤン飯会は大成功であつた。出席者は黒田、合田、岩村、小代、菊地、佐野、長原、岡田、小泉で丁度十人になる。料理は重なものが八品で此前の竹沢の御馳走ほど甘くはなかつた。なんだか近来は余りはやらぬやうに思はれた。岩村は例の通であつたが、割合に小父さんが景気がいゝ。九時半に解散、帰りには小泉大人大に気があつたが遅いので是非なく山内に分れる。

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「1905/06/16 久米桂一郎日記データベース」(東京文化財研究所) https://www.tobunken.go.jp/materials/kume_diary/873116.html(閲覧日 2024-05-17)