1. 事業背景や現状
東京文化財研究所ではこれまで15年以上にわたり、アンコール・シエムレアプ地域保存整備機構(APSARA)との間で、共同研究や人材育成研修の実施等、様々な協力活動を行ってきました。この間、一貫してそのフィールドとなってきたのがアンコール遺跡群のタネイ寺院遺跡です。
2. 事業目的や主な活動
2017年からはタネイ寺院遺跡の保存整備の実施に向けた保存管理整備計画の策定に協力し、2019年からは同計画に基づく具体的な遺跡整備に対する技術的支援を行っています。同遺跡はカンボジア側主体で行われる遺跡保存整備のパイロットモデルに位置づけられており、同国で自立的に継承・発展しうる協力のあり方が求められています。
3. 具体的な事例
2020年現在、同遺跡の東門で建物の解体を伴う本格的な修復に取り組んでおり、3次元レーザーやSfM写真測量による記録のほか、基礎構造等の発掘調査、地質試験や構造解析による適切な構造補強の検討など、外部専門家の協力も得ながら科学的な手法を用いた支援を行っています。
刊行物
- Technical Cooperation Project for the Conservation and Sustainable Development of Ta Nei Temple, Angkor -Progress Report of 2020- 2021年3月刊行
予算
東京文化財研究所運営費交付金事業:アジア諸国等文化遺産保存修復協力