東京文化財研究所では文化財保存修復に関する技術移転を行ってきました。

その中でも特に和紙を利用する保存修復技術に関しては注目度が高く、研修の中心的なテーマとなっています。和紙は今では有用な修復材料として海外でも広く認知されるようになり、紙文化財のみならず様々な文化財の保存修復において使用されています。しかし、海外の保存修復関係者にとって、和紙とその使用方法についての正しい知識を入手することは容易ではありません。

当センターでは国内外で研修やワークショップを開催することにより、日本独特のアプローチ法や優れた材料に関する情報共有、技術移転を行っています。また、専門家交流の場として国際的なネットワークの構築を推進しています。

開催している主な研修
1. 国際研修「紙の保存と修復」(1992年より)

共催:文化財保存修復国際センター(ICCROM)

会場:東京文化財研究所

和紙とそれを用いた修復技術であり国の選定保存技術である装こう修理技術についての研修。和紙を用いた修理技術、「切る」、「貼る」を中心に基本的な技術と考え方を教授し、各国の文化財への応用を促します。紙の保存修復現場での実務経験がある人向け。

2. 国際研修「ラテンアメリカにおける紙の保存と修復」(2011年より)

共催:メキシコ文化省国立人類学歴史機構国立文化財保存修復機関(CNCPC-INAH)ICCROM

会場:CNCPC-INAH(メキシコ・メキシコシティ)

上記「紙の保存と修復」からの派生研修。ラテンアメリカの紙保存修復の底上げのためにメキシコの発案により始まりました。「紙の保存と修復」よりも基礎から行います。スペイン語圏の紙保存修復技術者向け。

刊行物

国際研修「紙の保存と修復」2019 2021年3月刊行

予算

東京文化財研究所運営費交付金事業:国際研修

関連リンク

ICCROM International Centre for the Study of the Preservation and Restoration of Cultural Property

INAH National Institute of Anthropology and History (Mexico)