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作品ID 1108
作品名 七条道場文書自空上人書状(長楽寺)
年紀 応永六年(1399)
所蔵 京都府京都市 長楽寺蔵
員数 一巻一通 紙本墨書
銘文内容  軍勢に相伴時衆の法様は観應の頃遊行より所々へ
 被遣し書ありといへとも今ハ見おひ聞およへる時衆も不可
 有仍或檀那の所望といひ或時宜くるしからしといひて
 心にまかせてふるまふ程に門徒のあさかりにおよひ其身の
 往生をもうしなふものや檀那も又一往の用事ハかなへとも
 門下の法にたかひぬれは時衆の道せはくなりてかへて檀那
 の為も難儀出来すへし然ハ世出可被心得条々
一時衆同道の事ハ十念一大事の為也通路難儀の時分
 時衆ハ子細あらしとて弓矢方の事にふミをもたせ使せさせ
 らるゝ事努々あるへからす但妻子あしきハ惣して人をたすく
 へきいはれあらハ不可有子細
一軍陣において檀那の武具とりつく事時としてきあるへき也
 それもよろいかふとのたくひハくるしからす身をかくす物なる
 かゆへに弓箭兵杖のたくひをハ時衆の手にとるへからす殺生
 のもとひたるによてなり
一歳末の別時にハ軍陣なりともこりをかきときをし阿弥衣を
 着して称名すへき条勿論也雖然所によりて水もたやす
 からす食事も心にまかせぬ事あるへし又檀那の一大事を
 見ん事も無力にしてハ叶ましけれハ食事ハ何時にてもあるに
 まかせてさたしこりハかヽすともくるしかるへからす若又□
 へからん所にてハ如法におこなうへき也
一合戦に及はん時ハ思へし時衆に入し最初身命ともに
 知識に帰せしめし道理今の往生にありと知て檀那の
 一大事をもすゝめ我身の往生をもとくへき也此旨存知せ
 さらん時衆にハ能々心得よううに可被披露穴賢々々
南無阿弥陀佛
  應永六年十一月廿五日      他阿弥陀仏
  右之御所十一代上人御真筆也元和元年
  卯月十八日裏打廿代金光寺持阿認之也
  又一通三ヶ条の掟之御書見出認知也以上
  二通也金光寺可為什物
   大上人御筆天正十四丙戌三廿八 加表紙                        
                  卅二世書(朱文方印)
 
 
備考 年紀以降の「右之御所十一代上人御真筆也元和元年・・・」は後補紙。
参考文献 『時衆の美術と文芸 遊行聖の世界』展図録(山梨県立美術館・長野市立博物館・藤沢市教育委員会・大津市歴史博物館、一九九五年)/『長楽寺蔵七条道場金光寺文書の研究』(法蔵館、二〇一二年)