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作品ID 1106
作品名 七条道場文書真教上人書状(長楽寺)
年紀 正和五年(1316)
所蔵 京都府京都市 長楽寺蔵
員数 一巻一通 紙本墨書
銘文内容          
         弘通念佛の摺形木一
         送達之候
  四郎太郎殿就夢想念
  佛を有阿弥陀仏にすゝめさ
  せ奉むと所望候我ゝ獨住之
  後者遊行聖にこそ念佛勧
  進をもゝたせて候へ既道場百
  所許に及候面ゝ念佛勧候者
  帰而軽相に覚候之間一人に
  可事足候程に無其儀候之処
  出雲五郎左衛門入道のもとより
  浄阿弥陀仏に念佛を勧させ
  奉へきよし所望候其故者自
  身京都の篝を勧て在京仕候
  間浄阿弥陀佛も京中に御渡
  候之程に貴所へも召請せられ
  給候次に御化導之時すゝめ念
  仏にもれさせ給候人々雖御
  所望候未蒙免許之間不可叶之
  由申給候可然候者念仏勧進を
  可有御免と被申候しにつきて
  田舎なとこそ候へ我々者獨住に候
           京都ににて 
  可受之由所望之時者可被勧之
  由返事申て念佛の形木を一
  遣候し也就其当時もすゝめ候
  これよりは遊行聖に申付て候へハ
  事足候ぬと覚候然而四郎太郎殿
  夢想記につきて京都にては
  それにかはるへきにても候ハねは
  人の所望之時はすゝめ給へく候
  佛法は自身之許私の智恵を
  加へきにあらす故念佛弘通は
  阿弥陀佛向十万衆生此願不成
  就者不取正覚と発願し給然者
  一切衆生を先として不申異儀は衆生を先と
  する故也自身之往生も恃佛之
  本願成往生之一大事衆生の化導も
  捨自之計可随他之所望之間
  何方に向ても不用我之執心て任他之
  故をのつから自身之業障此盡て
  佛には哀愍の慈悲を蒙り衆生には
  令成帰敬之思は只自身真実の
  信心一念より如此乃廣大の巨益に
  預る且感此等之謂被納胸中は
  可為真実之信心候あなかしく
  南無阿弥陀佛
      二月十三日 他阿弥陀仏
   有阿弥陀佛  
備考
参考文献 『時衆の美術と文芸 遊行聖の世界』展図録(山梨県立美術館・長野市立博物館・藤沢市教育委員会・大津市歴史博物館、一九九五年)/『長楽寺蔵七条道場金光寺文書の研究』(法蔵館、二〇一二年)