前言(畑正吉フランス留学期写真資料)

 彫刻家の畑正吉(1882‐1966)は、東京美術学校(現、東京芸術大学)や東京高等工芸学校(現、千葉大学)の教授を務め、造幣局賞勲局の嘱託として記念メダルやレリーフなどを制作した人物です。明治40(1907)年から43年にかけて農商務省海外実業練習生として渡仏、パリのエコール・デ・ボザールに日本人彫刻家として初めて合格し、彫刻を学びました。その留学の折の原板12点が畑正吉のご遺族のもとに伝えられ、平成27(2015)年11月に正吉の孫にあたる畑文夫氏より当研究所へご寄贈いただきました。原板には畑正吉のセルフ・ポートレートをはじめ、安井曾太郎藤川勇造といった、当時パリに滞在していた日本人美術家と撮影した写真が残され、異国での交友のあとをしのばせる大変貴重な資料となっています。

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