白馬会新出品者白耳義画伯の事

  • 毎日新聞
  • 1897(明治30)/12/02
  • 1
  • 雑報

今度新たに上野の白馬会展覧会に掲げられたる遠来の大額伯耳義画家の油絵は中々好評なるが右の画家ロドルフ、ウィツトマン氏は該品に添へ左 の意味の書面を黒田清輝氏に贈り越したりと
予は曩に在ブラツセル名誉領事アレキサンダー、ハローの照会 を以て予等出品の希望を告げしに間もなく叮嚀なる貴翰に接し茲に予等が出品の栄を得るに至る予は深く貴下の厚意を謝すると同時に本品が無事安着の時に於る 受領陳列の労を思ふて予め之を今日に謝せんと欲す予は望む本品が名誉ある白馬会の開場中に着して敬愛すべき美術国人士の一瞥を博せんことを云々
と又書末 に夫妻の略歴を記しあり之に依ればロドルフ、ウイツトマン氏は白耳義テルモンドの 人一千八百六十年同国展覧会に於て金牌を得仏のリルアミアン。ボルドー、英のリ バープール、独のコローニユ等各地展覧会にても賞牌を受けたることあり又現に独逸ミユニツ ク、伯林の展覧会にも出だし居りて有名なる仏国シヤンドマルスのサロン(新派)には年々出品する由牡丹を画ける夫人ジユリエツト氏は一千八百六十年にブラツセルに生れ現今 白耳義王女アンリウニツト殿下の画学教師にして斯加古を始め独のユローニエ仏のボルドー伯 のブラツセル等各地の展覧会に出品して賞牌を得たることありといふ

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