概要

[指定名称]絹本著色普賢菩薩像
[員数]1幅
[品質]絹本著色
[法量]縦159.1cm×横74.5cm
[制作年代]平安時代(12世紀)
[指定]国宝(1951年6月9日)
[所蔵]東京国立博物館

諸経の王とされ、一切成仏を説く『法華経』を基盤とする天台宗が朝廷貴族に重んじられた平安時代には、法華経信仰者の守護者として説かれた普賢菩薩への信仰も盛んになり、画像も多く制作されました。

本画像はそうした普賢菩薩画像の現存作例中最高傑作に位置づけられるものであり、平安仏画の中でも屈指の名品です。その姿は、『法華経』の結経とされる『観普賢菩薩行法経』に詳しく述べられる東方浄妙国土から六牙の白象に乗って法華経信仰者の前に現れたまさにその瞬間をとらえたものと考えられます。衣に施された繊細精緻な截金文様などには平安時代に培われた日本的美意識・造形感覚の極致がみられる一方、経典に白玉に譬えて説かれる菩薩の肉身の白さと繊細な体つきを際立たせる微妙なニュアンスをもつ描線や、緑・朱・青による鮮烈な色使いには北宋様式との関連も指摘され、両者の融合した唯一無二の際立った存在感を放っています。