蛍光X線分析は、X線を用いた光学調査の手法の一つです。X線は可視光などと同様に電磁波ですが、非常に波長が短いことから、物質を透過して内部を観察できるなど、可視光とは異なる性質も持っています。

物質にX線を当てる(照射する)と、物質を構成する元素ごとに特徴的な波長の蛍光X線を出します。その際、ある元素が多く含まれるほど、その元素に特徴的な蛍光X線の強度が大きくなります。そこで、蛍光X線を測定すると、どのような元素が含まれるのか、その量が多いのか少ないのかを知ることが可能です。

蛍光X線分析に用いる装置の中には、小型で持ち運びがしやすく(可搬型)、試料を採取せずに(非破壊)、測定が可能なものがあります。文化財の調査では非破壊分析が望ましいとされることから、国宝平安仏画の調査にも、このような可搬型の蛍光X線分析装置が用いられています。

分析の様子画像

蛍光X線分析の様子