クリックで拡大します ©TNM/TNRICP
概要
[指定名称] | 絹本著色千手観音像 |
[員数] | 1幅 |
[品質] | 絹本著色 |
[法量] | 縦138.0cm×横69.4cm |
[制作年代] | 平安時代(12世紀) |
[指定] | 国宝(1955年2月2日) |
[所蔵] | 東京国立博物館 |
人々を自在に救う観音菩薩の力を、たくさんの手と掌にある眼で更に強調したのが千手観音である。この作品でも、観音の利益を象徴する様々な持物を手にした腕の間に、無数の小さな腕が見え隠れし、それらの掌には全て眼が描かれている。腕の表現は千手観音像のひとつの見どころであり、この作品では、観音のからだ全体を覆う光背と一体化するように、きれいな円形にまとめられている。 観音の衣には、截金による多様な文様が施され、繊細を極めている。また、台座の蓮華の花びらの筋は、銀箔と金箔を重ねた箔を用いている。輝きの中にも色調の変化と奥行きをもたせた繊細な感覚をみせる截金と、柔らかな中間色の彩色が相まって観音像を荘厳している。 品のあるふっくらとした姿や円形にまとめられた手、中間色の使用、細部の繊細な造形感覚には平安仏画の特徴が遺憾なく発揮されている。その一方で、観音像の向かって右側の婆藪仙人を描く太細のある描線、向かって左側の功徳天の先のとがった肩当をつけた着衣、はっきりとした色づかいなどには、鎌倉時代に好まれるようになる宋代仏画の特徴を取り入れた表現が見られる。 |