全図
普賢菩薩像
 
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普賢菩薩像
 
全図
普賢菩薩像

用語集

  名称
普賢菩薩像
01 いんそう(いんぞう)
印相
Insō (Inzō)
mudra
「いんぞう」ともよむ。仏・菩薩・明王などの諸尊格の功徳を象徴的に表すものを広義で「印」と言うが、狭義では仏像・仏画などで諸尊が表現する手指のしぐさのことを指す。釈尊の生涯で主要な出来事を象徴的に表現したものを基本とする。手を肩の高さに挙げて五指を伸ばし掌を外に向ける施無畏印、両手を重ね合わす定印(禅定印、法界定印)、親指と人差し指で輪を作った両手を胸前に挙げて組み合わせる説法印(転法輪印)などがある。
普賢菩薩像
02 うけばな
請花
Ukebana
flower-shaped support
蓮華の花弁のうち、上方に向くものを請花(仰蓮)という。仏像の台座、厨子、須弥壇などの意匠の一部として広く用いられる。
普賢菩薩像
03 かえりばな
反花
Kaeribana
reversed flower petals
蓮華の花弁のうち、下方に垂れるものを反花(伏蓮)という。仏像の台座、厨子、須弥壇などの意匠の一部として広く用いられる。
千手観音像
04 かまち

Kamachi
pedestal base-frame
台座の最下段に付ける台。1段だけではなく、数段を重ねる場合がある。2段に重ねる場合には、上の段を上框、下の段を下框と区別する。その形状には、円形・四角形・八角形などがある。
虚空蔵菩薩像
05 かんぞう
冠繒
Kanzō
crown tassels
仏像の宝冠をのせる天冠台の両側、両耳上方で結び目をつくり、その先を長く垂下させる紐状の飾りのこと。経典には「冠に白繒をつなぎ両辺垂下す」とあり、仏画では白色に表されることが多い。
普賢菩薩像
06 きょうしょく(むなかざり)
胸飾
Kyōshoku (Munakazari)
ornamental necklace
「むなかざり」ともよむ。菩薩や天部像などの胸部に着ける装身具。平安時代は、一般的にいくつかの小円を連ねて構成される連珠文や、上下または片側に花弁を横に連ねた列弁文を付した紐を基本帯とし、そこに花飾や垂飾をあしらう胸飾が見られる。
普賢菩薩像
07 ぎょうよう
杏葉
Gyōyō
horse strap ornament.
唐鞍の金属製または革製の装飾で、面繋、胸繋、尻繋につける。杏の葉に似ていることからこの名がある。
普賢菩薩像
08 くん(も)
裙(裳)
Kun (Mo)
inner garment
腰から下、踝までの下半身を覆う巻きスカート状の布。仏、菩薩、明王、天部像に表される。中央で打ち合わせ、上部を帯(腰帯)で締めて、上方は衣端を折り返すことが多い。裙を二枚重ねたり、裙の表と裏で模様を変えたりする場合がある。
千手観音像
09 けばん
華盤
Keban
flower platter (a section of a lotus pedestal)
平安時代初頭に反花の発展した形として成立し、時代を経るに連れ次第に複雑な形に変化した。通常、蓮弁と敷茄子との聞に置かれるが、多段数の蓮華座の場合、上敷茄子と下敷茄子の聞に置かれる。
普賢菩薩像
10 けぶつ
化仏
Kebutsu
transformed Buddha
人々を救済するため、さまざまな姿に変化して現れた仏のこと。また、本地仏を示すために仏像の頭部などに配置された小型の仏像。
普賢菩薩像
11 こうはい
光背
Kōhai
Nimbus
仏・菩薩・諸尊の身体から発される光明の相を象徴して、仏像の背後に表されるもの。仏の超人的な身体的特徴を示す三十二相(金色相)の一つ。光背の形式には、後頭部に円輪を表す頭光や、全身から発される光を表し、全身を囲む長楕円形の挙身光などが生み出された。
普賢菩薩像
12 さんげ
散華
Sange
scattered flower
仏を讃え供養するために花をまき散らすこと。仏典には、仏が説法するときは、天から花が降ってくると説かれている。
普賢菩薩像
13 さんどう
三道
Sandō
three lines/three grooves
仏像の首に表された三筋のくびれのこと。一本ないし二本の場合もあるが、いずれも三道と呼び慣わす。円満・広大な仏身を表す象徴として、仏・菩薩に表される。
千手観音像
14 しきなす
敷茄子
Shikinasu
narrow middle section of a lotus-petal base
中国の初唐代に成立した蓮華座の中間部分にある構成要素の一つで六角形、八角形など様々な形がある。蓮華座の段数によっては2つの敷茄子を組み込み、上段を上敷茄子、下段を下敷茄子(あるいは束)と呼ぶ。
普賢菩薩像
15 しりがい
尻繋
Shiri-gai
crupper
馬具の一種で、馬の尾の下に隠して鞍につなぐ紐状のもの。
普賢菩薩像
16 じとう
耳璫
Jitō
ear ornament
菩薩像などに見られる耳染に開けた孔につける玉飾。環状、漏斗状、鼓状のものがある。
孔雀明王像
17 じもつ
持物
Jimotsu
attribute held in hand
仏・菩薩・明王・諸天が、それぞれに手にする持ち物を持物といい、印相とともに、諸尊の性格を象徴的に表す標識の役割を果たす。菩薩では蓮華・水瓶・数珠・如意・羂索などの法具、花果等を持つ他、明王・天部では金剛杵・剣・弓・鉾・索などの武器、楽器等を持つ。
十一面観音像
18 じゅず
数珠
Juzu
Buddhist rosary
念珠、誦数とも言う。糸や紐に、金・銀・銅・赤銅などの金属、水晶・琥珀・瑪瑙などの玉石、菩提樹・多良樹・蓮などの種子や香木などで作った小玉を連ね通して一環としたもの。僧侶が手にとって仏号(念仏)を唱えたり、真言、陀羅尼を唱念する回数を数えたり、仏を礼拝するときに手にかける法具。
普賢菩薩像
19 じょうはく
条帛
Jōhaku
scarf-like band of cloth
肩から胸腹部を斜めに覆うたすき状の衣のことをいう。インド古代貴族の服制に基づくとされ、菩薩、明王像などに表される。左肩から右脇腹辺りにかけて斜めにかかり、右脇腹から背面に至って再び左肩を覆い、先にかけられた条帛にたくし込まれる。その背面をまわってきた衣の先端は、左胸上辺で条帛にたくし込まれた後、そのまま垂れ下がらせるものや、長くたなびかせるもの、持物を取る手の腕にかけるもの、腹部辺で再び条帛にたくし込むものなど様々にあしらわれる。
普賢菩薩像
20 すいはつ(すいほつ)
垂髪
Suihatsu
hanging strands of hair
「すいほつ」ともよむ。主に菩薩像や天部像に見られる肩に垂れ下がった髪の毛のこと。先端が数筋に分岐し、波打った形に表されることが多い。一般に、仏・菩薩の頭髪は、仏の超人的な身体的特色である三十二相の一つ「毛孔生青色(青色の毛)」にしたがって、青色に表される。
千手観音像
21 だいざ(れんげざ)
台座(蓮華座)
Daiza (Rengeza)
pedestal (lotus pedestal)
仏像を安置する台をいう。台座には様々な種類があるが、円形や六角形などの多角形の台の上に蓮華をのせた台座(蓮華座)が最も一般的な形式である。蓮華はほとけの功徳を象徴するものとされ、また泥の中から清廉な花が咲くように清浄不染の徳があると見なされたことから、蓮華座は諸尊の座として古くより用いられた。蓮華座の蓮華部分は、蓮肉・蘂・蓮弁からなる。一方、蓮華下の台は、箱型のものから時代を経るにつれ複雑なものに変化し、様々な意匠が施されるようになった。蓮華座の構成要素として、中国において初唐時代に敷茄子、日本では平安時代初期に華盤が生まれた。蓮華をはじめとして、敷茄子・華盤・框などこれらの諸要素の組み合わせにより、蓮華八重座、九重座など、多様な台座表現を見るに至った。
普賢菩薩像
22 てんがい
天蓋
Tengai
canopy
仏・菩薩像を尊び美しく飾るための道具の一つとして、頭上にかざす傘形の蓋のことをいう。形の上では、箱形の天蓋と華形の天蓋の2種類に大別される。
普賢菩薩像
23 てんね
天衣
Ten-ne
heavenly scarf
綬帯と呼ぶ場合もある(綬とは糸で平たく組んだ帯状の衣のこと)。菩薩や天部像が両肩から上半身に沿って垂らす長い帯状の衣をいう。
普賢菩薩像
24 ひせん
臂釧
Hi-sen
ornamental bracelets on the upper arms
臂釧は、菩薩像などの上膊(上腕部)に着ける鎖状の装身具。同様の装身具で、手首につけるものを腕釧、足につけるものを足釧と言う。臂釧は、腕に巻き付けるための基本帯に、大型の花形飾りなどをつけ、その中心部や下部から帯を垂らすのが一般的である。花形飾りの周囲には、さらに小型の装飾文様をつけることも多い。
普賢菩薩像
25 びゃくごう
白毫
Byakugō
A white curl between the eyebrows
仏の身体的特徴を示す三十二相の一つ。仏の眉間に生えた柔らかな白い毛が右に渦を巻き、光を放つとされる。経典には、その光に遇う者は身心が安楽になり、様々な罪業が除かれると説かれており、如来だけでなく、菩薩像にも表される。彫像では水晶をはめて表すのが一般的である
普賢菩薩像
26 ふげんぼさつ
普賢菩薩
Fugen-bosatsu
samantabhadra
文殊菩薩とともに釈迦如来の脇に従う菩薩である。法華経を唱えて修行する者があれば、六本の牙をもった白象に乗って現れ、守護すると説かれている。
虚空蔵菩薩像
27 ほうかん(てんかん)
宝冠(天冠)
Hōkan (Tenkan)
jeweled crown
天冠ともいう。玉や蓮華などで華麗に飾られた冠のことをさす。菩薩、明王、天部像は一般的に宝冠を頂く。また、宝冠(天冠)をのせる台を天冠台といい、天冠台自体が宝冠の意味を持つ場合も多い。
普賢菩薩像
28 ほうじゅ
宝珠
Hōju
sacred gem
サンスクリット語はCintāmani(チンターマニ)で、チンターは思惟を、マニは宝珠を意味する。意のままに種々の物を出し、あらゆる苦を取り除く宝の珠をいう。如意宝珠、摩尼珠ともいう。古来から、龍王、摩羯魚(マカラ)の脳中より出るといい、あるいは、亡くなった釈迦が荼毘に付された際の遺骨である仏舎利が変じたものとも言われる。宝珠の周囲を火炎で装飾するものを火炎宝珠という。
普賢菩薩像
29 ようらく
瓔珞
Yōraku
jewel strings hanging from the canopy
金銀宝玉をつづった装飾のこと。特に仏・菩薩の装身具を指すが、その他、天蓋の装飾、台座の垂飾などのこともいう。
普賢菩薩像
30 ろくげのびゃくぞう
六牙の白象
Rokuge-no-byakuzō
six-tusked white elefant
普賢菩薩が乗る、6本の牙を持つ白い象。6本の牙は、悟りを開くのに必須の6つの修行(六波羅蜜:布施、忍辱、自戒、精進、禅定、智慧)を象徴する。また、釈迦の母である摩耶夫人が、自分の右わきの下から六本の牙のある象が体に入る夢を見て、身ごもったことを知ったといわれる。
普賢菩薩像
31 わんせん
腕釧
Wan-sen
ornamental bracelets on the wrists
腕釧は、菩薩像などの手首に着ける鎖状の装身具。同様の装身具で、上膊(上腕部)に着けるものを臂釧、足につけるものを足釧と言う。花形飾りの周囲には、さらに小型の装飾文様をつけることも多い。
十一面観音像
32 あじろもん
網代文(截金文様)
Ajiro-mon
woven in vertical-horizontal patterns
網代とは、槍皮、竹、葦などを薄く細く削ったものを斜め、あるいは縦横に交叉させながら編んだもので、垣、屏風、天井、車などに用いた。網代を意匠化した文様。作例は少なく極めて珍しい物である。
十一面観音像
33 あられもん(いしだたみもん)
霰文(石畳文)(截金文様)
Arare-mon (Ishidatami-mon)
checkerboard pattern
石畳文とも。正方形に截った箔を縦横一つおきに市松文様風に配す文様。
普賢菩薩像
34 いろぐま
色隈
Iroguma
shading technique with both light and dark colored pigments (a part of inner garment)
隈(暈)は彩色技法の一つで、墨の濃淡やぼかしによって立体感を表現する。色でほどこした隈のことを色隈といい、着衣の衣摺線として墨線以外の金泥や朱色をはじめとする各種の色で引く色線とともに、色と色との組み合わせが装飾的な効果をあげた。色隈、色線の表現法は、中国に起源があると考えられている。
十一面観音像
35 うろこがたきっこうつなぎもん
鱗形亀甲繋ぎ文(截金文様)
Urokogata-kikkōtsunagi-mon
hexagonal pattern with triangular shaped gold
正三角形に截った箔の一辺を輪のように繋げて作る六角形の文様。
普賢菩薩像
36 うんげんさいしき
繧繝彩色
Ungensaishiki
ungen coloring technique
暈繝彩色とも。主に装飾文様の彩色に用いられる技法の一つで、染織技法を起源とする。同系統の色を、暈かしを用いず濃色から淡色へ(淡色から濃色へ)段階的に色を変化させて、立体感、凹凸感を表現する。濃淡が3段階であれば3段繧繝、4段階であれば4段繧繝と呼ぶ。青系と赤系、緑系と紫系の補色関係にある2系統の繧繝を組み合わせることが多く、この組み合わせは「紺丹緑紫」と通称される。
普賢菩薩像
37 えぎぬ
絵絹
E-ginu
silk canvas
その上に絵を描くための絹織物。主に日本画に用いられる。
十一面観音像
38 かきおこし
描起し
Kakiokoshi
delineation of final outlining
仏画では墨線で描いた下絵の上に彩色をほどこし、その上にさらに仕上げの線描を行い、輪郭や細部を描きこむ。仏菩薩の肉身を輪郭する描起しの描線(肉身線)は、一般に均一な太さの線が引かれる。なお、これに対して太細のある描線を肥痩線といい、明王や天部などに用いられる。
十一面観音像
39 かきけし
描消し
Kakikeshi
coloring techniques to make layers of two colors
重ね塗りの技法の一つ。本図では、台座の上敷茄子に用いられる。ここでは、下地に白色を塗り、表したい文様を残して、他を赤色で塗りつぶしている。ちょうど、赤地に白色で唐草文様が描かれたようになる。下地に金箔を用い、唐草文、宝相華文などを残して他を墨や諸色で塗りつぶす例も多く見られる。
普賢菩薩像
40 かたぼかし
片暈し
Katabokashi
one-side shading
色彩のグラデーション「暈し」によって立体感を表出する隈の技法の一つ。片暈しは、面のすべてを彩色せず、面の片側のみ暈しを入れることにより、立体感の表出をねらった技法をいう。
普賢菩薩像
41 がんりょう
顔料
Ganryō
pigment
粉末状の着色材料を水などの溶媒に混ぜて用いる色材。蛍光X線分析で顔料に含まれる金属元素を検出できることから、当該分析によりその種類をある程度絞り込むことが可能である。 この図では、顔料の成分である青色の粒子が見える。また、上部は白色の顔料により画絹の布目が覆われている。
普賢菩薩像
42 きっかもん
菊花文(截金文様)
Kikka-mon
stylized chrysanthemum pattern
二等辺三角形に截った箔を、頂点を中心にむけて放射状に配置して作る花文。中心に菱形を置く場合もある。
普賢菩薩像
43 きりかね
截金
Kirikane
cut gold leaf
主に金銀の箔を線状または方形、三角形などに細かく截った切片を様々に組み合わせて文様を表す。仏像、仏画などで仏菩薩等の身につける着衣や甲胃などの文様をはじめ、寺院建築、仏教工芸等の装飾に用いられる。
普賢菩薩像
44 きんでい
金泥
Kin-dei
gold paint
金紛を膠水に混ぜた色材。泥では反射光の散乱が箔より大きいため、鈍い輝きとなる。
普賢菩薩像
45 ぎんでい
銀泥
Gin-dei
silver paint
銀粉を膠水に混ぜた色材。泥では反射光の散乱が箔より大きいため、鈍い輝きとなる。
十一面観音像
46 こめのじいりしっぽうつなぎもん
米字入り七宝繋ぎ文(截金文様)
Komenojiiri-shippō-tsunagi-mon
interlocking circle pattern with Kome-character shaped gold
同じ大きさの円を四分の一ずつを交叉させたものを上下左右に連結した文様で、截金文様の代表的パターンの一つ。
普賢菩薩像
47 こんたんりょくし
紺丹緑紫
Kon-tan-ryoku-shi
blues next to reds and greens next to purples ; one of the coloring rule
繧繝彩色では、青系と赤系、緑系と紫系の補色関係にある2系統の繧繝を組み合わせることが多く、この組み合わせのことを「紺丹緑紫」と通称する。
十一面観音像
48 しゃこうしもん
斜格子文(截金文様)
Shakōshi-mon
diamond lattice pattern
斜格子文は、截金技法上では最も単純な直線文で古くから用いられた。
十一面観音像
49 しゃこうしもん(しょうへんによる)
斜格子文(小片による)(截金文様)
Shakōshi-mon
diamond lattice pattern with small gold pieces
細長の平行四辺形に近い小片の箔を斜格子状に配した文様。
十一面観音像
50 しろくくり
白くくり
Shirokukuri
white outline
繧繝彩色が行われる場合、奈良時代には繧繝彩色の輪郭に赤色線を用いることが一般的であった。青色に対する淡青色、緑色に対する淡緑色、赤色に対する淡紅色、橙色に対する淡橙色などの中間色を具色というが、この具色を繧繝彩色に用いた場合には、輪郭線は赤色線や墨線ではなく白線が用いられる。
普賢菩薩像
51 せんりょう
染料
Senryō
dye
着色材料を水などの溶媒に溶かして用いる色材。有機質の材料が用いられることも多く、その同定には一般にFT-IRなどの破壊分析を要する。 この図では暗赤色(矢印)の部分に染料が用いられたと考えられる。
十一面観音像
52 たのじいりにじゅうこうしもん
田字入り二重格子文(截金文様)
Tanojiiri-nijūkōshi-mon
latticework pattern with Ta-character shaped gold
二重斜格子の間に田字を配する文様。
十一面観音像
53 たのじつなぎひしもん
田字繋ぎ菱文(截金文様)
Tanoji-tsunagi-hishi-mon
rhombus with four Ta-character shaped gold
田字を四個並べ菱形を形作る文様。例は少なく、極めて珍しい文様である。
虚空蔵菩薩像
54 だんかもん
団花文(截金文様)
Danka-mon
circular pattern with blossoms and petals
丸や円の中に幾重にも重ねた花弁や唐草を配する文様。平安時代には、初期の大振な宝相華文や唐草文から、幾つかの小振りな花を組み合わせて円形に形づくるものや、花弁と唐草とを組み合わせて円形に形作るものなどへと変化し、様々な組み合わせが見られるようになった。彩色で表される場合と截金で表される場合の両方がある。
十一面観音像
55 つじかざりしゃこうしもん
辻飾り斜格子文(截金文様)
Tsujikazari-shakōshi-mon
diamond lattice pattern with cross point decoration
斜格子文は、線状の裁金を斜めに交叉させた直線文様の一つで、古くから用いられた。この辻飾り斜格子文は、直線が交叉するところに菱形の点綴文を置く斜格子文の一種である。
普賢菩薩像
56 てりぐま
照隈
Teriguma
bright shading
反隈(返隈)、逆隈ともいい、膝頭などの隆起した部位に光があたって反射する状態を表すなど立体感を表出するために、白色や具色、あるいは金銀泥を塗り、ハイライトの効果を出す彩色技法。結跏趺坐した両膝や両肩の輪郭線などにそってほどこされることが多い。
千手観音像
57 ひしつなぎわちがいもん
菱繋ぎ輪違い文(截金文様)
Hishitsunagi-wachigai-mon
linked circle pattern with parallelogram shaped gold
細長の平行四辺形に近い小片の箔を円形に配し、上下左右に繋げた文様。
普賢菩薩像
58 よつめひしいりしっぽうつなぎもん
四ッ目菱入り七宝繋ぎ文(截金文様)
Yotsume-hishiiri-shippō-tsunagi-mon
interlocking circle pattern with four-petaled flowers
方形の截箔を4片並べて菱形にした文様(四ッ目菱)を入り文様とする七宝繋ぎ文の一種。
孔雀明王像
59 よつめひしいりにじゅうたてわくもん
四ッ目菱入り二重立涌文(截金文様)
Yotsume-hishiirinijūtatewaku-mon
undulating lines with four-petaled flowers
規則的な波状の線が縦に向き合ってならび、間に広狭のある文様。立涌の中は無文のもの、四ッ目菱を入れるもの、九ッ目菱を入れるもの、また波状の線を1本とするもの、2本とするものなどのバリエーションがある。
十一面観音像
60 よつめひしつなぎもん
四ッ目菱繋ぎ文(截金文様)
Yotsume-hishitsunagi-mon
linked four-petaled flowers pattern
正方形に截った箔を菱形に配置したものを一単位として、それを連続的に配置した文様。
十一面観音像
61 りゅうすいもん
流水文(截金文様)
Ryūsui-mon
marble-like pattern
この文様は、平安時代後期12世紀の絵画の中には例のない珍しいものである。
十一面観音像
62 りんどうもん
竜胆文
Rindō-mon
gentian pattern (on the canopy),photoluminescence image
植物の蔓や茎を渦状や波状に連続させたものを唐草という。蔓となる部分の種類により、葡萄唐草、宝相華唐草などとよび、竜胆唐草もその一つである。