ガラス乾板は透明なガラス板に乳剤を塗布して感光材料としたものです。ガラス乾板は四つ切やキャビネなどサイズが比較的大きく、フィルムとは異なり原板の反りや歪みが少ないことから、明瞭な像が得られます。東京文化財研究所の前身である帝国美術院附属美術研究所(昭和5(1930)年設立)では、昭和30年代の初め頃まで文化財の撮影にガラス乾板を用いていました。

本作品は、美術研究所の写真技師によってガラス乾板に記録されていました。正確な撮影時期は不明ですが、撮影当時の所蔵者が「川崎武之助」と書かれており、東京国立博物館の所蔵となる前に撮影されたことがわかります。なお、普賢菩薩像、孔雀明王像、虚空蔵菩薩像には、美術研究所のガラス乾板による記録はありません。

千手観音像全図
千手観音像上部
功徳天
千手観音像下部
婆籔仙