黒田の自画像は決して多くない。留学中の作品で油彩画は2点のみである。もう1点は和服をつけたもの（鹿児島市立美術館蔵）で、「1889」と制作年が記されている。この作品もそれと同時期と推定されているが、大きく明暗がとらえられていて画面に生彩がある。法律勉強から解放され、いよいよ「天性」に基づいて自己の道を歩きはじめていた黒田の若い情熱と不安とが混合した自画像のように見うけられる。

赤外線写真

蛍光写真