秋の声

  • 毎日新聞
  • 1898(明治31)/10/06
  • 2
  • 雑報

上野の白馬会展覧会では昨日開場したるが場の天井は全体を白布にて張詰め 色々凝つた趣向がある又出品は三百五十点の多きに及び洋画新彩といふ題にてアートタイプの写真帖が遠からず出版されるとの噂だ◎日本美術院も来十五日より其新築に於て展覧会を開き同時に開院式を行ふ是 は亦日本画の新彩とも云ふべきだ◎今度三保松原の富士山といふ大物を白馬会に出した和田英作氏は澳国紳士フイツシヤー氏の依頼に応じ同氏に連れ立ちて全国漫遊 の途に上つたが追ては琉球の果までも出掛ける其途中の名勝悉く氏の彩毫に上り紳士が後日維納の交際場裡に土産の花 たるべしとのことである

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