金州城内新聞記者宿舎内部の図(Reporters’ Quarters in Jinzhoucheng)
1894 / 紙・インク(Ink on paper) / 18.2 x 25.4 cm
作品コード:KU-c046 図録番号:

金州は、中国、遼東半島の南部に位置する町である。日清戦争開戦にあたり、黒田は、パリのル・モンド・イリュストレ社の通信員を委嘱されたことから、志願して従軍した。明治27年(1894)年11月に広島を出航し、12月にこの地に到着した。このスケッチは、このときのものであるが、ほかにも写生帖(14号、15号、16号)に、現地でのスケッチを多く残している。一ヶ月半ほどの滞在中に、こうしたスケッチを残したほか、つぎのように友人に宛てた黒田の書簡が、当時の新聞に掲載されていた。「此頃はもう此金州の景色にも目が慣れて、描いて置度いと思ふ処が少なく為つた、だが城外には随分いい処が沢山有るよ、(中略)とは云ものの、広い原につくなんと画でも描き始めると、指の先がつめたいやら何やらで、思ふ様にかけぬわい」(「画家の戦地観察 在金州黒田清輝氏の書簡」、『毎日新聞』明治28年1月16日)(A.T)