女の顔(模写)(Portrait of a Woman (Copy)) | |
1886 / 紙・木炭(Charcoal on paper) / 62.5 x 47.5 cm | |
作品コード:KU-b095 | 図録番号:図録2 |
黒田がラファエル・コラン之もとに入門したのは、1886(明治19)年5月下旬のことであった。コランは、ルーブル美術館へいってデッサンすることを黒田に指示した。《女の顔(模写)》は、こうしてそのときに描かれたものである。「素描の素描」、「過去の絵画の素描」をはじめに勉強する絵画修業のカリキュラムは、近世ヨーロッパの美術アカデミーにおいて確立していたもので、コランの指導もそれによったものと思われる。同年10月11日から黒田はコランの教室がおかれていたアカデミー・コラロッシに通いはじめ、石膏像のデッサン、人体の部分のデッサン、人体習作と本格的な絵画勉強をはじめている。
それは1889(明治22)年春までつづけられたようである。このころ描かれた《裸婦習作》《少年》《裸体習作》などは、コラロッシ時代の勉強ぶりをよく示している。油彩画でいえば、《田舎家》から《画室の一隅》を描いた時期に相当する。これら初期の木炭デッサンをみても、輪郭線には適度に抑揚があり、形の把え方にも硬いところが少なく、柔軟な感受性を生来そなえていたようにみうけられる。
それは1889(明治22)年春までつづけられたようである。このころ描かれた《裸婦習作》《少年》《裸体習作》などは、コラロッシ時代の勉強ぶりをよく示している。油彩画でいえば、《田舎家》から《画室の一隅》を描いた時期に相当する。これら初期の木炭デッサンをみても、輪郭線には適度に抑揚があり、形の把え方にも硬いところが少なく、柔軟な感受性を生来そなえていたようにみうけられる。